いちゃいちゃ

学生ニルマイ恋人設定。

ぷくっと膨れる頬とますます眉を寄せて不機嫌になるマイケルが、ニールにとってかわいげがなくかわいくて仕方がなかった。
むにむにした肌が薔薇色に染まって魅力的だし、瞳も少し濡れていて誘惑の炎が走る。
その視線がニールを収めると脳を蕩けさせやり場のない熱が内に篭っていく。
「いきなり何をするのかと思えばこんな変なこと……僕は犬じゃないし触っていいなんて許可してない」
下から睨みつけ、唇を尖らす。そんな大型犬の拗ねる様子がニールの近くにあった。
確かに今の状態は端から見たらホモセクシュアルそのものである。校長なら尻叩き百回の罰を与えるだろう。
怪しい行為は数分ほど前から、ニールの膝上へやや強引に向かい合うようにしてマイケルを座らせふわふわした髪を撫でていた。
柔らかくていい匂いがして綺麗な金が輝いて、照れて赤くなった顔も文句を言う口と鋭い目も全てが愛らしい。
触るなと反抗されても嫌だった。こんなにかわいい存在を無視できる訳がない。清らかさを持ちつつも特有の意地っ張り具合を発揮するマイケルはニールを翻弄する大きな子供でもあり、カウボーイのようでもあり、一度囚われたらなかなか逃げ出せない。
さらに詳しく述べる。マイケルによると変だというこれのきっかけは犬みたいだとからかっていたらどうしようもなくじゃれたくなってしまったのである。本能に任せて彼の自由を奪って腕の中に閉じ込め、気の済むまでかわいがり尽くしたい。その衝動は消えることなく燃え続けていた。
「なあ、ニール。いつまでやるつもりなんだ?そろそろ飽きないのか?」
「お前さんがかわいくなくなるまでだなあ」
「男に言われてもまったく嬉しくないさ」
額と瞼にキスをして鼻と鼻をくっつける。冷えた先が温もりを伝い溶けていく。
反してまだマイケルは膨れているがニールは構わず慈しむ。
かわいい。限りなくかわいい。延長線上に好きという言葉も現れてマイケルでいっぱいになり、複雑な感情はなしに単純な気持ちが溢れてくる。
油断しているとマイケルがニールの頬を抓った。弱い力だが、強い意思を含んでいる。
「マイケル、痛いんだが」
「貴方が離す気がないなら僕も離さない」
ふ、と勝ち誇った笑みを浮かべている。
「……本当に嫌か?」
今更謙虚なことを問うと顰めっ面でしばし躊躇したあと、本当に嫌だと答えた。
手を止める。まじまじとマイケルを見詰める。
この期に及んでそんなはっきりと言われても硬直するしかない。
ニールを置いてマイケルは、ん、とわざとらしく咳をし首を傾げる。
「どうせ、こ、恋人……なら、らしくしてくれ」
「……は?」
「恋人、なんだろ?……犬扱いするな」
おお、と感嘆符を放ちそうになるのをぐっと堪え、ニールは赤い唇に何回もキスをする。
不思議な引力に導かれるままキャンディのような甘い麻薬を繰り返し、次いで華奢な体を抱きしめて耳元へ囁く。
「お前さんがかわいいから何でもしたくなるんだよ」
――もちろん犬扱いも、だ。



頭がフットーしちゃいそうだよお



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